国債、地方債は国や地方自治体の借金である。しかし国や地方自治体は、少なくとも形式的には国民の意思に基づいて行政を行っているのだから、それは国民の借金ということになる。だから税をもって返済するということになるのだが、誰から借金しているのかといえば、国債や地方債を買った人、すなわち国民から借金をしているのである(外国人が買う場合もあるが、大部分は日本の銀行や個人が買っているから、基本的にはそうだといえる)。だから税をもって国債や地方債の返済(償還)が行われた場合、そのお金はどこに行くのかと言えば、国民である。国民というレベルで考えれば、自分の懐から出て自分の懐に戻るのであり、いわば差し引きゼロである。だから返済するのを止めてしまおうというのが永久公債の考え方である。しかし国債や地方債によって調達した資金はすべて国民のために使われるが、その資金を出したのはすべての国民ではなく、国債や地方債を買った一部の国民なのだから、それを反故にしてしまうことはできない。そこで返済はしない(つまり借金は借金として残る)が、毎年の金利は払い続けることにするのである。*1

郵貯の民営化は長期的には正しい措置であるかもしれないが、その民営化がもし国債消化に対して中期的に逆効果を伴うならば、問題である。民営化のために、郵貯簡保を通じる国債消化が大きくダウンするならば、それを避けねばならない。民営化のために、郵貯簡保を通じる国債消化が大きくダウンするならば、それを避けねばならない。仮に郵貯その他政府関連による国債保有が低くなる場合には、コンソル公債のような永久公債発行の措置は重要な役割を演じよう。現在は国債の借換分に対して金利は払うが、元本は償還しない永久国債発行の措置を構想すべき時期ではないだろうか。

*1:日本経済新聞社 『「人口減少経済」の新しい公式』 松谷明彦 p162より