古典派経済学の世界で資源制約といえば、自国の土地の制約のことであった。主な話題は人口と土地の比率、またはマルサスの言う人口と食糧の関係だった。しかし、19世紀ごろから蒸気機関の普及にともなう大量の石炭の利用と、交通・通信革命にともなう北米の膨大な土地や資源の世界経済への取り込みは「持てる国」と「持たざる国」の分布を一変させた。一国単位での資源制約を所与とした旧来の問題設定は、大きな変更を迫られたのである。
後略〜
(参照元:日本経済新聞 2005年2月16日 p.29 『やさしい経済学-21世紀と資本主義 世界史のヒント 6.資源と貿易』大阪大学教授 杉原薫)