資本はそれ自体としては人間の意志を体現しない。資本主義を個別利害だけではなく、人間社会のニーズに合わせて発展させるには、富の社会的移転を正当化する工夫が要る。この移転を担ってきた制度的な核、それが近代国家である。資本主義の将来は、国家の機能のこの部分をどのように改善することができるかにかかっている。
(参照元:日本経済新聞 2005年2月18日 p.29 『やさしい経済学-21世紀と資本主義 世界史のヒント』杉原薫 大阪大学教授)