魔法の姿見

 昨日のWBS、トレたまで紹介されていた日立製作所謹製の「魔法の姿見」について。
 恐らくμチップというシーズの一つの見せ方として発想されたものだと思うが、まさにユビキタスという概念の非常に判りやすい例示になっている。逆に言えば「商品タグの無線ICチップから情報を読み取って商品解説をする試着室の鏡」とか、「朝のニュースを教えてくれる化粧台の鏡」なんていうのは、ここ数年ユビキタス社会を説明する際に頻出した例だったように思う。
 少年雑誌の未来の図に出てくるエアカーを実現したような感覚。
 すげえと思ったのはありものの技術を組み合わせてとりあえず一番乗りを果たせるだけの日立グループの技術的なキャパシティの広さと、逆に従来の日立グループだったら発想はあっても却下されていたかもしれない、女性研究員ならではの鏡に映った自分の画像を蓄積し、データベース化するという発想がμチップという本来提示しなくてはならない技術とは関係なく採用されていること。日立にユビキタスなんてミスマッチじゃないのと思った時期もあったけど、変われるものですね。まあ、本気で売る気があるのか、という疑問点もあるけど、これが唯一の例外でなければ日立はコンシューマー市場で失ったプレゼンスを取り返せるかもしれないと思った。
 「魔法の姿見」はポストパソコン情報家電の一つのあり方として普通の寝室に違和感なく置けるという点で流通現場よりも一般家庭に受け入れられる素地は充分にあると見た。μチップと家庭向けの利用法を両立させる手段が思いつかないが*1、μチップの利用に拘りすぎないで欲しいということと、あとは変な特許を取って競合他社の参入を阻害したりしないで欲しい>日立さん。 

*1:チップ組み込みのカードをインターフェイスとして採用するという手はあるだろうが、子どものおもちゃにはなっても実用性は無いような気がする。