「ハリウッドが規格を決めると考えるのはファンタジー(幻想)だ」(ソニー出井伸之会長)。ここにきて、次世代規格の新製品の早期投入で雌雄を決しようとする意見が支配的になってきた。
 「どちらの方式のプレーヤーが先に多く普及するかが重要」(ソニーの西谷清・業務執行役員常務)「相手陣営よりよいプレーヤーを安価で出せば勝てる」(東芝の藤井美英上席常務)。両陣営とも「ハードで優勢となった方にハリウッドはつくはず」と、正面からの激突も辞さない構えだ。
〜中略〜
 日本メーカーが主体的に商品発売前の規格統一を果たすチャンスはあるかー。あえて"最終期限"を探るなら来春ということになる。ブルーレイ側はこの時期にプレーヤーのための読み出し専用ディスクの仕様を固める予定。HD DVD側も来年後半の関連機器投入を考えると「早く必要な半導体などの準備に入らなければならない」(東芝の藤井常務)からだ。
〜中略〜
 メーカー、コンテンツ会社、そして消費者がそれぞれ不利益を被る「三方一両損」を回避するためには残された時間はわずかだ
 日本経済新聞 2004/12/24 9面 「激変2005 1 次世代DVD規格 分裂回避迫る"期限"」より

 こうなってくると民間の営利企業がやっていることでも一度走り出したら止まらない公共事業と大して変らない。政治的な調整が働かない分だけ余計性質が悪いかも。
 チキンレースがはじまってしまえばコスト面で有利なHDDVD陣営が一義的には有利だろうが、そもそもHDDVDはDVDとの競争になった時に勝てるのかと言う議論もある。もともと長尺映画がDVD一枚に収まらないこと以外、一般消費者の多くはDVDに対してほとんど不満を持っていないし、記録メディア、機器に関してはむしろこれから本格的な普及期に入ることを考えると敢えて危険を犯してどちらかの尻馬に乗るなんてことをする動機もなければ経済力もない。パソコン遣いの多くはパソコンをメディアサーバー化してしまってその利便性にどっぷり使っているからわざわざメディアを取り替える不便な状況には戻れない。だいたいPCオタクのハシクレとして言わせて貰えばかなり前からBDやHDDVDの記事を見かけても対立構造そのものには興味があっても技術的な部分でトキメキを感じない。そんなもののために誰が好き好んで人柱になるものか。
 いっそ、仕切りなおして今回については商品化を見送り、次々世代規格を全員で開発したらどうですか。