スポーツレイティングスお披露目

株式会社スポーツレイティングスは2005年3月1日、3月26日のパシフィックリーグ公式戦開幕日に先駆け、プロ野球選手評価分析システム「BBR(Baseball Rating)」の Web サイトをオープンした。

 サイトはこちら。中身はと言うと、

BBR とは、多岐に渡る評価基準によって、選手のその試合における勝利への貢献度および活躍度を、総合的に100点満点の形式で評価したもの。打率・打点・防御率のような数値データのみで評価した場合、通常の本塁打と逆転サヨナラ本塁打は同等の評価となるが、同システムの場合、試合展開などの詳細な状況分析も評価に影響するため、試合の流れによっては同じ本塁打でも全く評価が異なる。そのため、記録的な面での好不調だけでなく、勝負強い選手かどうかなどもこの値で知ることができる

 このBBRという独自の評価方法が肝になるらしいが、ぱっと見で問題点を指摘すると、守備での評価点はどうやら失策数のみらしいこと。同じことは走塁にも言えるのだが、ようするに記録に現れないプレーに対する評価はされないらしい。城島、古田、阿部といったタイプの捕手は良いが、地道に投手のリードで評価の高い捕手は全く評価の対象になることは無いだろう。
 記録に現れているはずのプレーについても例えば二遊間選手の勲章として評価されるべき併殺数はカウントされていないように見える。外野手の捕殺数もカウントされていないようだ。他のポジションの選手とのバランスが取れなくなるからだろう。まあ、全ての評価方法が公開されているわけでは無いので何らかの形で加味されているのかもしれないが、公開されている範囲でみるとどうも加味されているようには見えない。
 恐らくこれらの問題点については問題として把握されているが、正面切って取り組むと先に進まないので敢えて無視する方策に出たであろうことが想像される。新しいことを始めることはそれ自体に意義があることなので総論賛成なら見切り発車してしまえという意見もあるだろうが、折角昨シーズン中日が「守備の再発見」をしたこの年に守備は無視ではプロ野球の進化を逆行させることにもなりかねない。
 まあ、こういう評価軸も一つの方法論なんだろうが、ポイントの付け方を見てもオープンに割りと文句の付けにくい方法がとられており、敢えて数値化しにくい部分については触れないという方向性を持っているように思えた。
 そう言えばIBMの算出しているMEPなんてどうやって出しているんだろうと思ったら

BISポイントは、いわば選手の活躍度を偏差値で表したものなのです。つまり1打席ごとの打者・投手の成績をイニング・得点差・塁上などの要素を取り入れ偏差値化した成績を総合して算出します。公式戦に出場した全選手が対象となり、平均的な値が基準値(50ポイント)となります。

 ということで、やはりこちらも守備、走塁は加味されていないかも。客観的な数字で出す場合、守備走塁に触れること自体がパンドラの箱を開ける所業になってしまうのかも。しかし、こうみると、両者ともやっていることは大して変らないな。
 まあ、この件についてはこれから色々と議論され、改良される可能性もあるだろうし、今早急に結論を出すことでは無いんだろうけど、今の時点でのシステムを評価すれば、敢えて新しいヒエラルキーとして公開するほどの意義があるかどうかが疑問。