プロ野球の話題は自分の問題が片付くまでは出来るだけふれまいと思っていたと前回も書いたし、仮に書いたとしても鎌田選手の動向に限定したいと思っていたが、どうしても書いておきたいことがあるので節を曲げる。
新庄選手のことである。
最近プロ野球絡みのブログを読む余裕が無いのでマスコミの垂れ流す情報以外に彼のスタンドプレイに対する世間の反応が判らないのだが、彼の行動は本当に諸手を挙げて世間に受け入れられているのだろうか。別段スタンドプレイそのものをどうこう言いたいわけでもなく、それほど実績のない彼がああいう演出をすることについても彼なりに出来る貢献をしていると思えば素晴らしいことだと思う。
ただ、オールスターの際のあのベルトはスタンドプレイを肯定するか否定するかのレベルで論じられる物ではなくて明らかに見ていて痛々しい演出だったように思える。2年前のセリーグ側ベンチに目配せをしながらのホームスティールは仮に出来レースだったとしても彼のトリックスター性を下支えする伝説の一つになったし、なんと言ってもプレイの一環として行われたものだったが、今年の天井から降りてきたりといったプレイでもないアトラクションはファンのため云々というお題目を並べれば何でも出来るというレベルまでプロ野球を貶めてしまったのではないか。
そんなことをしなくてもここぞという時の打撃における意外性*1、そして野村監督も認める身体能力に裏打ちされた外野守備で十分ファンを湧かせることが出来ていたはずだが、結局今年の引退宣言はそうした煌めきを見せることが出来ない磨り減った野球選手に彼もなってしまったことの自覚の現れであり、過剰演出もしかりだろう。
一般的に私はプロ野球選手に対してはプロのレベルに体を維持する精神力が摩耗しない限りは選手を続けて欲しいと思う口だ。ロートルに居座られては新陳代謝が上手くいかないという議論もあろうが、楽天や広島の一軍選手層の薄さを見れば、それはチームの経済力がまず問題なのだろうが、それ以上に日本に12球団を支えるだけの数の有能な野球選手が存在していないことの証でもあるだろうし、選手寿命が確実に伸張を見せている昨今、多少給料を落としてああした球団に高いレベルを維持しているベテランを供給することは一つの救済策としてありなのではないだろうか。
閑話休題。そうした持論はあるが、新庄選手のような特殊な存在は「新庄」という稀代のトリックスターとしての役割を果たせなくなったとき、グランドに残るべきではなかったと思う。いっそあの引退宣言をした晩にすっぱり辞めてしまってマスコットキャラとして雌伏し、実は任意引退届を出していなくてシーズン終盤のここぞというところで着ぐるみから颯爽と登場して打席に入るぐらいのことはして欲しかった。って水島漫画じゃあるまいしね。
まあ、本当のところは新庄選手のことを云々したかったと言うより、巨人戦視聴率の低下=野球人気の凋落とか、結局サッカーもこけちゃってWBCフィーバーの再燃狙いとか言ったマスコミの事情が裏側に透けて見えるところが実に嫌とか思っただけ。

*1:言い換えればジャンプヒーロー並みの技術を凌駕する集中力