異動、明日、諸々のこと

ほぼ異動することが決まった。環境を変えることは自ら望んだことだし、実家から通える範囲でもある。中味的には左遷と評価されるものだが、半ば病気療養中と評価される身の上としては精一杯の配慮をしてもらったと思う。それに僕個人としては運命的なものを感じたりもした。有り体に言って彼女とある程度共通点のある仕事になりそうなのだ。
まあ、いつ切れるか判らない絆に対してそこまでの感情を持つのは良くないような気もするが、そんなことでも新しい仕事に対するモチベーションになればそれも良し。なにより明日の話題のかなり強力な切り札になる。

明日のことについては出来るだけのことはしてみた。先週に続き、今日も下見。概ねプランが決まったところで夕食でお世話になる店に顔を出したら、少々我が道を行く人であるところのオーナーに急遽小劇場でアマチュア劇団の芝居を見る案を提示され、いつの間にか前売り券まで買わされていた。で、自分の考えたプランは半分削ることになった。
まあ、考えたと言っても神社仏閣巡り、今咲いている桜を巡り歩いたら結果的にそうなったのだが、にお食事をつけた程度の物なので重複するものを見せて回るよりはパンチの効いた構成にはなったが、芝居は当たり外れがあるだけにリスキーだ。しかもその当のオーナーはその公演に関してはまだ見ていないと言うし。
ここのところ実力をつけてきている若手集団と言うことで、演劇好きの知り合いから裏は取れたので賭けてみる気になったけど、久々に人の言うなりに流されてしまう自分が情けないと思う瞬間だった。

最終的に相手の様子をうかがいつつ、明日の段階で出来れば一つ先に進めておきたいとは思っているけど、束縛されることに過度に反応していた彼女に対して早すぎるのか、それともその程度には進展しているのか。正直経験の浅い自分に判断がつくとは思えない。大概こういう時、何故か最終的に清水の舞台から飛び降りモードが発動して玉砕することが多い。

少なくともアルコールが入った状態では止めよう。それは恋愛の中で僕が学んだ唯一のことかもしれない。アルコールが語る言葉は真実だとしても相手には届かない。

ここまでは前向き?な話。
今日一日色々と考える中でこの間カウンセリングで流した涙のことが妙に引っかかってきてしまった。ぶっちゃけ、あれはカウンセラーに自分の行動原理の大半は親に承認されたいという欲求ですと、遠回しに言われたことに対し、そんなつまらないことで自分は悩んだり苦しんだりしてきたのかという悔しさから流れたものだった。で、その理屈から言えば今回の恋だって、親からまともな人間として認められたいという欲求の現れでしかなかったとしたら?という考えがふと浮かんでしまい、どうしても頭から離れなくなってしまったのだ。
元々デートプランを実際に組める時間の4倍ぐらいの情報量をしかもなけなしの人脈をフル活用してまで収集したり、一回のデートの下見を3回はしてみたりと過剰な努力をすること自体、彼女という他者に認められたいという欲求、つまり彼女を楽しませたいの裏にある信認されて存在意義を見いだす自分という構図も見える。
でもそれは当たり前のことで、そういう誤解みたいな流れからしか恋愛なんてものは沸いてでないのではないかという気もしないでもない。無償の愛なんて愛という存在自体が相互恵与の一形態だとすれば形容矛盾だと思うし。
そういう構図があることが問題なのではなくて、一番恐ろしいのは自分の中でもしかしたら親が彼女のいる自分という存在を信認することがこの恋で成就されうる最高のことなのではないかという打ち消しても頭から離れない考えだ。

ピクチャーブライド的な世界は現実に存在したし、今でも好きではない人と結ばれる人はいると聞く。今の段階では相手がある程度の基準を満たしていればそこから先のことは切っ掛けなんてまるでお構いなしに勝手に構成されていくものだろう。

僕には今確かに彼女に対する欲求が存在し、そういう対象となり得る相手にアプローチできている幸せを感じている。
明日は、そのことだけに集中し、今恋している相手とデートできる喜びを精一杯感じよう。その先には積み上がっていく生産的な何かが確実に存在しているはずだ。まあ、もし上手く行けばの話だけど。