〜前略
 グローバルなインターネットと地域との相性の良さは不思議な感じもするが、プロ野球球団を買収したインターネット企業が地域を強調するのは、時代の必然がある。地域コミュニティーの共通の価値観や利益に基盤をおく信頼関係が、ネット社会の弱みというべき無秩序さや「ただ乗り傾向」を引き起こしやすいマイナスを補って、情報開示、参加、互助などの力をフルに発揮する土壌を提供してくれるのだ。
 これらを理解するのに役立つのが「イ・ト・コ」(塩崎泰雄氏による)と「仕掛け」というフレームワークである。周囲が沈滞する中で突出して活性化している地域を見ると、「インセンティブ=共同参加への誘因」と「トラスト=信頼関係」を、「コネクタ=関係性をつなぐ人」が構築して、ネットワークによって可能となる情報共有の「仕掛け」に命を吹き込んでいる、という共通の成功要因が見てとれる。
 後略〜
(参照:日本経済新聞 05/01/11 21面 「経済教室 日本再生の地平5 ネットワーク環境で先行 散在する力を結集 高齢化対応など世界に範」國領二郎 慶応義塾大学教授)