技術の進歩によって、情報を処理し伝えるコストが劇的に低下した。その結果、情報の爆発が起こり、「豊富さの逆説」が生まれている。情報が豊富になったために注意が不足する結果になったのだ。情報の量の多さに圧倒されるようになって、何に注意すべきかをみきわめるのが難しくなっている。このため、情報ではなく注意が希少な資源になり、無意味な雑音の中から価値の高い情報を選び出す能力をもつものが力を獲得するようになった。編集者と解説者への需要が高まっており、どこに注目すべきかを教えてくれる人たちが力を得るようになっている。
(参照元:『ソフト・パワー 21世紀国際政治を制する見えざる力』 ジョセフ・S・ナイ 山岡洋一日本経済新聞社 p.167)