与党の支持世代が若い世代であるほど、財政赤字を先送りする政策には否定的になる。これは、民主党の観点から財政赤字の削減を説明できる。ここで有用な概念が、世代会計である。
 クリントン大統領に代表されるベビー・ブーマーの世代にとって、既存の財政制度では現在の高齢者への所得移転が多すぎるとともに、ベビーブーマー世代が将来老後を迎えるときに、その時の青年世代に大きな負担を求めることができない。したがって、ベビーブーマー世代の長期的負担を緩和するために、現在から財政赤字の削減による財政改革を実施することに積極的になる。
 実際に、1990年代に入ってアメリカで世代会計の手法が提唱された。また、クリントン政権の政策では、常に若年世代や将来世代にとっての損得が重要な論点として指摘されている。
(参照元:「財政赤字の正しい考え方 政府の借金はなぜ問題なのか」井堀利宏 東洋経済新報社 p.240)