マクロ的な財政赤字のコストとしては、クラウディング・アウトがある。政府が公債を発行すると、それで民間資金を吸収するから、その分だけ民間の投資需要に向けられる資金が食われてしまう。これがクラウディング・アウト(押しのけ)効果と呼ばれる現象である。
〜中略〜
 貨幣需要が利子率に敏感に反応するほど、公債残高の増加で利子率が上昇しやすくなり、また、投資が利子率に敏感に反応するほど、利子率の上昇に対して投資需要がより抑制されやすくなるからである。クラウディングアウト効果は公債発行による金利上昇の圧力であり、民間企業が資金を借りにくくなる「官業の民業圧迫」問題でもある。
(参照元:「財政赤字の正しい考え方 政府の借金はなぜ問題なのか」井堀利宏 東洋経済新報社 p.94)