要素技術はあくまでツールである。重要なのは、顧客の思い通りのシステムを作ることだ。ツールはそのために使えばいい。鋸(のこぎり)や槌(つち)の性能を詳しく解説しても、どんな家が建つのかさっぱりわからない。しかし、どういうわけだか、次から次へと、色々な形状や性能を持った鋸や槌が出てくる。
 IT業界におけるBuzzwordバズワード:専門家が素人を感心させるような、その分野特有のもったいぶった専門用語)の氾濫傾向は、いまだにとどまることを知らない。ITにおける要素技術の固有名称は、IT業界外の人にとってはほとんどがバズワードと化す。だが、IT業界ほど、バズワードを乱発する人が多い業界もないのではないか。パソコンが家庭に普及した現在でさえ、コンピュータ用語の多くは“普通の人”にとっては意味不明のヨコモジにほかならない。