ある種の到達点

ようやく迷いの森を抜けたら、そこは高い峰に至る断崖絶壁だった。
結局のところ、僕が出来ることは、彼女に対して出来ることはほとんど無い。
であるならば、僕は僕がすべきことをすべきだ。

そう考えた瞬間に、むしろ時間が足りないのは僕の方だと気付いた。
今のままで良いわけがない。
僕が納得するだけの僕になるにはまだまだ努力が必要だ。
彼女のしていることは結果的に僕にその猶予を与えてくれているとも解釈できる。もちろんかなりこじつけの苦しい解釈だけど。
それで、その果てに振られてしまっても僕が少しでも前に進めていれば良いじゃないか。

綺麗事だよね。でも、人を前に進めるためには建前とか理想とか、そういうものが必要で、結果的に回り道はしたけど彼女は僕にそんな大事な物をくれたんだと思う。