maneo再考

久方ぶりに投資ネタを。前回ほとんど良いところ無しの評価をしつつも今後に期待を残した日本初のソーシャルレンディングサイトであるmaneoだが、どうなっただろうか。
前にいろいろ書いた欠陥については金融に関する日本の法規制の厳しさを通すためやむなくと言う部分を割引いて評価をしないといけないという点では不公平な評価だったかもしれない。パイオニアはパイオニアであることのリスクを負っているという意味でいつの時代にも評価されてしかるべきだ。

変化として一番大きいのは新たにオリックス・クレジットとの共同開発商品としてG−Loanが始動したことだろう。
要はデフォルトリスクをオリックス・クレジットが背負う代わりに中抜きしますよという物で、投資する側からすると1.5%の金利商品、借りる側は審査結果によっては12%までの金利を負担するという物で、一見かなりの中抜きに見えるが、現状の一方的に貸し手側不利な情報偏差の状況を鑑みると、その程度のコストは甘受してもお釣りが来るような気がする。

問題の本質は本来貸し手はSNS的な機能を利用してベンチャーキャピタルにプレゼンする創業志願者の如くプレゼンをして貸し手の共感を得ることによって市況よりも割安に資金を調達できる、と言うのが従来からのmaneoのビジネスモデルの説明なのだが、僕の探し方が悪いのか、借り手の中で借りる前のプレゼンも借りた後も事後報告もまともに行っている事例を見たことがない。というかそんな機能がサイトの何処にあるのかも判らない。

コミュニティ形成なんて一朝一夕で出来るわけ無いのだから、それこそ「はてな」とかで間借りをすれば開発経費も浮くだろうに何故か提携を結んだ先はOKWave。Q&Aシステムぐらいは自前で作るべきだし、全くシナジーが感じられない。ネットで商売をする上でのセンスのなさが伺える。

恐らく色々とクレームは入っていると思われるのに、ほとんどサイトの改善らしきことが行われていないところからも、たぶん自前で開発が出来る陣容ではないのだろう。実際僕はかなりの回数メールを入れて一部の要望は実装予定とまで言われたが、結局いつの間にか立ち消えになった。

タイミング的に始めたところでリーマンショックだったことは、投資先を失った資金を呼び込んだ面はあるかもしれないが、出資者側からは経費節減だの早く利益出せだの無理難題をふっかけられて身動き取れない状況を招いていることも想像できるので同情はする。

どれだけ言っても結局難癖つけるぐらいなら参加しなければいいというレベルの話なのだが、後発組と目されていたSBI等は様子見に転じたようだし、ソーシャルレンディングが健全に機能し始めれば機能不全に陥っている既存銀行への刺激にもなるだろうし、エンジェルファンド的な役割を果たすようになれば日本の産業構造転換の一つの切っ掛けにもなるだろう事を考えると個人的には出来る範囲で応援はしたい。

元々硬直した日本の金融行政の隙を突いて作った仕組みを改善するなんてそもそも無理の上に無理を重ねるような話かもしれないけど、少なくとも貸し手が借り手の意気を感じられるような場は法規制とは関係なく醸成していけるはず。頑張って欲しい。