日本は休日が多すぎる。

日本では休日が増えたり連休が作為的につくりだされることで経済的価値と国民が余暇を楽しむ機会が創出されると思われ、少なくともその年々エスカレートする傾向に疑問を呈することは一般的なことではないようだ。
実際、現状では先進諸国の中で日本の法定休日の量は突出して多いようだ。

だけど、本当にそれは国民の幸福量を増やしているのだろうか。

僕は正直カレンダーに記載されている連休は嫌いだ。
その間企業は活動を停止し、仕事は進まなくなる。そして結果として仕事が圧縮されるだけだ。

自分の望むタイミングで休めるわけではないから仕事の都合によっては単に締め切りが前倒しになったり作業時間が減るだけの話だ。結果として平日の残業時間が増えて、迎えた連休では疲弊して外出する気力がないか、結局休日出勤しなければ帳尻が合わないということになる。

世の中には自分のたてた計画に則り、合理的に仕事を進める人たちが大勢見えるのだろうが、僕はそうではない。そうなろうと努力はしているけど現状うまくは行っていない。

で、結局休みたくもないときに世間にあわせて休み、進まない仕事と疲弊した体で悶々とした休日を過ごし、有給休暇はちっとも消費できず形だけ休んだことにして出勤するという無駄を繰り返すことになる。


休日が増えたり連休をつなげたりすることが全く無意味だとは思わない。個人事業主の人などは業種にもよるだろうけど休日でなければ休めない人もいるだろう。
また、大人は自分で休みがコントロールできても生徒、学生の時分はなかなかそう言うわけには行かないかもしれない。

だけど、実態としては休日しか休めない人というのは全体の割合でいえばそれほど多くはないだろう。むしろ個人事業主では休日がかき入れ時になる人、休日も関係なく働く人が多いような気がする。
子供についていえば、まあ子供は子供で大変なのは僕も子供だったことがあるので判るつもりだが、だからと言ってどんどん休みを増やさなければならないような存在かといえば別にそうでもないような気がする。家族旅行は子供が休める間に行けば十分だと思うし、世界の大多数の人より日本の子供の方が休まなければならない理屈は立たないと思う。

ありていに言ってしまえば、日本人は休日を増やすぐらいならきちんと自分で休みをコントロールできる仕組みを作るべきだ。サラリーマンに限っていえば法定休日を増やすことは有給取得を妨げている元凶とも言える。

ちゃんと有休が取れればわざわざ割増料金を取られる可能性の高い連休中に旅行をする必要もなくなるし、企業サイドから見ても自社の業務量にあわせて有休取得が進めばそれは評価されるべきことだと思う。少なくとも業績の良い企業が必要に迫られて社員に休日出勤を強いるよりはずっと聞こえはいいと思う。


結局、連休を増やしたところで自殺が減るわけでもなし、むしろ増える傾向にあり、そうした日本というシステムを変えるなら日本の特色でもあり近年の目立った制度的な変化でもある休みや連休の増加という事象を見直すのは変化の方向性として少なくとも議論の対象となってしかるべきものだと思う。


自分の実感として一番わかりやすく感じる例としては5月の連休がある。日本の多くの組織体は4月始まりの年度制を採用しているが、その流れの中で5月が他の月と比べて忙しくないということは絶対にないと思う。忙しい時期に業務を止められ、やすめという。自分だけ働いたところでいつもより効率よく進むわけがない。休んでいてもどこか心が仕事に持って行かれるところがある。みんながみんな休むので旧友との交流で飲んだり、家庭サービスにも努めなければならなくなる。で、疲労する。その結果5月病なんていう言葉は相当前から一般的に使われており、それは正月ぼけ等の歴史的な慣習に付随して言われることとは違う意味合いで使われているような気がする。

結局こういった流れは「ゆとり教育」のように明確な指標で判断され得ない*1上に一見誰の目にも利益に適っているように写るため、否定するには相当な、そして一見無駄な勇気が必要なのだと思う。

特に政治家にしてみれば休日を増やすことを明確に否定することはどう考えても自分の利益にはならないだろう。他の主題と比べるとそんなことを主張しても頭が良さそうには見えないし。

勢い外国かぶれの文化人の言説として、例えばイギリスと比べてこんな愚かな日本というシステムという事例の中に並べられるのが関の山と言うことになる。そういう中に並べられるとまあ響く人には響くのだろうけど、何でもかんでもイギリスイギリス言いやがってという反発の流れで一括りにされてしまうと言うことになる*2

といったところで、いつものごとく尻切れトンボに終わってしまうのだけど、実は結構こういうことを言っている人はそれなりにいるのかなとここまで書いて思ったりして、表に出す前にググってみようかとも思ったけど、何をキーワードにすればいいのかよく分からない。まあ、ここまで書いてしまったものをお蔵にするのも何なので、実はブロガーにありがちな言説なのか、やっぱりマイノリティなのか、その辺は検証していないけど、自分の意見はこうなんだよと言うことで出してしまおう。

*1:ゆとり教育の評価についてはいささかヒステリックな面も否めないと個人的には思うけど

*2:別に特定の誰かを想定しているわけでもないし、イギリスにコンプレックスがあるわけでもないと思うのだけど、こういうとき特定の国名が思い浮かぶと言うことは深層意識上に何かが存在しているのかもしれないと言うことまでは否定するつもりはない。