遊びのルール

実は先週末はほぼずっと異世界に遊ぶという自堕落な時間を過ごし、親父に「回線の調子が悪い」と言われそしらぬ顔で「ふーん、そう?こっちはそうでもないよ」などと言ったりしていたのだが、特に日曜日はギルドメンバーで取りこぼしたクエストを協力して消化しよう大会という様相になり、レベル的に中堅どころである僕は最初はヘルプ役として、その後は未踏の地を先達に導かれ、それなりに楽しい時間を過ごした。

が、たかが遊びと言えど、楽しいばかりでは済まないところがある。


そもそも顔の見えないコミュニケーションとしては現状究極に位置するものの一つであるMMORPGは擬似的に丸ごと一つの社会を構築するという性質から個人レベルでのプロトコルがかなり多く存在し、特に金銭*1を介しない原初的なコミュニケーションを多用する「ギルド」という集落の中で如何にポジションを獲得していくかと言うことは断ち切ろうと思えばすっぱり断ち切れる素性を知らない者同士の関係なだけに非常にセンシティブなところがある。究極的に言えば「嫌なヤツ」は村八分どころか村十分にしてしまっても何ら問題ない世界なのだ。

逆にそうしたシビアで殺伐とした環境になりかねない社会なだけに不文律を守ることにかけては皆非常に注意深い。判っていない人も、敢えてルールを破ることでカタルシスを得ているもちろん居るが、そうした人はそれなりの僕には出来ない楽しみ方をしているわけだ。


普段の生活の中でもプロトコルに関する能力の欠如、或いは過剰な反応に悩まされている自分としては遊びといえども中々厳しい部分である。

特に普段の他愛のないチャットと違ってパーティプレイでは何をして良いかが判らずに困ることが非常に多い。

その意味では昨日はぐったり疲れてしまった日でもあったわけだ。


特に後半、ヘルプにまわるわけでもなく、自分のクエストをこなしているわけでもなく、パーティの中での立ち位置もなく、という状況に追い込まれ、結局一人迷子になって離脱してしまった時、子どもの頃に「上手に遊べなかった自分」を思いだして非常にブルーな気分になってしまった。

元々キャラクターを育てる上で明確な方針を見いだせずに居たこともあり、単純に努力をすれば貢献できるという状況になかったと言うこともあるが、準備不足な状態でメンバー的に余裕のないパーティに参加してしまったという判断ミスということでもあったし、前半でもメンバーにマナー違反を指摘されたり、何となく自己主張できなくて不本意な役振りを廻されたりといったこともあって、正に「上手に遊べなかった自分」が凝縮された時間でもあった。

程度の差はあれ、子どもの頃と同じ気分を味わう羽目になったのもショックではあった。まあ、人生の中の未踏地を歩いているわけで、単純に今までの経験は活きないという状況でもあったが、よくよく考えると、実世界でも仕事と同じで遊びに関しても出来るだけ自分が不快になる状況を避ける傾向に近年拍車が掛かっていたなとも思う。

結果、昨日はその後なんとか立ち位置のつかめる方向に成長させようとキャラの成長に邁進して気付いたら5時近くだったわけだが、そもそも単純にレベルを上げれば解決する問題でもなく経験を積むことで解消できる部分もある。

そもそも粗忽なのは性格で治せるものでもない。ギリギリの状況になれば自分のミスで全滅することもあるだろう。だけど、遊びの中ぐらいそういうギリギリの緊張感を楽しめるようになりたいとも思う。



日常的な気配りだって上手な方ではないし、それこそ自分が嫌になれば最終的にフェードアウトも簡単だ。

でも、もう一つの社会はそれなりに自分の中でポジションを高めており、リアルな日常への張りになっている部分もある。


まあ、ここでも気負ってしまっては本当にどこにも居場所なんて無いということになってしまうのだけど^^;

*1:もちろん疑似だけど