〜前略
 また、企業の境界の問題も見直すべきである。既存の理論は、企業の境界を常に所有権の問題として扱ってきた。しかし知識を生み出す相互作用は、誰も所有できない。知識創造主体としての企業の境界は、資産の法的所有権ではなく、企業が促せる相互作用の範囲で決まる。知識社会では、そうした時間とともに変化する相互作用をとらえる理論が必要となる。
(参照元:日本経済新聞 2005年2月4日 p.37 『やさしい経済学-21世紀と資本主義 知識社会と企業 7.知識創造の「場」』 一橋大学教授 野中郁次郎)