カウンセリング1-2

 初見の人と会う時の過度に繰り返されるシミュレーションは僕の非合理的な習慣の一つだ。何故非合理的かといえば、僕がシミュレーション通りにことが運ぶかどうかということをさして重要視していないからだ。
 だいたいが、人と話しはじめたとき自分が何を持って切り出すかはまさにその瞬間に決定され、シミュレーション時点のシナリオは放棄される。恐らくシミュレーション通りにことが運ばなくて慌てふためく自分というのが最悪の結果であって、まずはその展開を自ら封じることが最優先課題なのだろう。
 まあ、だからといって繰り返された演算が全く何の役にも立っていないわけでもなく、特に今回のように交わされるであろう話題が限定されるとき、自分の言いたいことをもれなく相手に伝えるための、いわばお買い物リストのような役割なのだと思う。