カウンセリング1−5

 いくつかのペーパーワークが済むと、僕の状況についての質問が投げ掛けられた。
 そもそもここに僕を導いた状況は仕事の上での行き詰まりだった。
 超絶的に難しい仕事をしているわけでもなく、分不相応な責任を押し付けられているわけでもなく、ただなぜか僕は行き詰まっていた。
 いや、理由は色々とあるのだ。
 最近の僕はなぜいまこのような苦境に自分が立たされているのか幾千、幾万の理由を探してリストに並べることによって一時の安堵を得ようとしていた。
 御定まりの家族構成や生い立ち、成長過程でのトラウマ。職場を取り巻く環境。
 果ては発達障害の可能性まで真剣に検討がなされた。

 それはそれで一時の精神安定には役に立ったかもしれないが、それで根本的に状況が改善されることは当然のことながら無かった。