ブリンカー

 繊細な競争馬が周囲に影響されないように視界を限定する馬具のことをブリンカーというそうな。
 僕にとってSH03-AとRBOARDの組み合わせはまさにブリンカー的な存在になっているのではないかと思う。
 表示環境は恐らく和文タイプライターよりは大分マシだと思うが、最大8行×21文字。変換候補が画面の半分以上を占めるので、打ち込み中はこれが4行になる。
 まあ、本来的には前後の文脈を見渡せることは美点になるはずだが、この限定された環境が妙な集中力を生む。
 高性能なパソコンでブラウザを複数立ち上げているような環境なら前後の文脈どころか突然思い付いた単語の検索を始めたり、急に株価のチェックがしたくなったりと誘惑が多すぎる。
 まあ、通常ブログの記事は引用とリンクを多用することで成立していることから考えると、この環境の神通力は限られた分野でしか発揮できないだろうけど、現状僕にとっては最高に集中できる環境ではある。
 副作用として勢いに任せているぶん推敲が足りなかったりただでさえ多い誤字脱字が増えたり、ぶつ切りで編集するので章立てが噛み合わなくなったりするかもしれないけど、推敲しすぎてやっぱり書くのをやめようと思ったりはしない。
 基本的にパソコンの文化って付け足していくことを良しとしているわけで、かくいう僕の部屋にもパソコン4台内1台はマルチスクリーン、という状況なわけだけど、この環境はひたすら自分を処理しきれない情報の台風に曝し続けているようなものなのかも知れないなと思った。
 ある意味ケータイ小説なるものを書いている人はこんな贅沢な環境は使っていないわけで、あれは米粒に写経をするような修業的な効果を著すのかもしれないなどと思ってしまうのは携帯文化に馴染めなかったおじさんのヒガミかな?