カウンセリング1−6

そういうこともあり、最初のインタビューはとても1時間では収まらない僕の自分史の叙述に終始する可能性もあった。
とりあえず差し迫った問題である僕の職場におけるアンフィットな状況に辛うじて話題が収斂していったのはなけなしの演算の成果と言えなくもない。
そもそも僕が数多いる、そして誰ひとりとっても正体の判らないカウンセラーの一群から現在目の前にいるカウンセラー氏を選択したのは彼のプロフィールに産業の一文字を見つけたからにほかならない。
いや、別にそういう意味では職場が福利厚生の一環として紹介してくれる専門家でも良かったはずだが、なぜかそうしたお仕着せの状況には何も期待できないような気がしていた。
そういうアマノジャクさもまた僕の現状を生きにくいものにしている要因の一つなのかも知れない。