インターミッション或いは自己紹介2−1

 ここまでのカウンセリングの中でもいろいろと僕のことは語られているけど、とりあえず今の段階で必要と思われる部分を既に語られている箇所も含めてまとめておこうと思う。
 ただ、この物語りは基本的にカウンセリングを含めた様々な経験を通して「僕」というメタフィジックな存在が解明されていく過程を描くものであるので、当然この場で語られる「僕」は表層的に今僕が理解している範囲内の自分に限られる。

 僕はつねにコンプレックスに苛まれている。内容は様々だが、主に肉体的に太っていること、そして自分が望んでいるほど頭が良くないこと。さらに対人関係を形成する能力が致命的に欠けていることに起因している。

 特に「政治的配慮」について考慮する必要がさほどない時代、僕で言うと保育園に通っていた頃から中学生時代にかけて、僕の生活はそうした配慮にかけた同年代の皆さんとの闘争か逃走かの選択の連続だった。

 親子関係は押しなべて希薄だった。若くして結婚して不幸な就業歴を持つ両親は自分達の比較的不幸であったであろう現況をそれでも同時代人特有の古い時代とは決別した自由平等な価値観で乗り越えようとしていた。だから望まれていたかどうか定かではない僕の出生に関してもその事自体についてドラマでよく言われるように「あなたさえ生まれなければ」なんて言われたことはない。

 ただ、大方の時間、彼等は自分自身の問題に対処するのに懸命で普通の親ほど子供に時間を割くことが出来なかったのは単なる不幸だったのだろうけど、事実であったと思う。