インターミッション或いは自己紹介2−3

 僕は小学校に上がるまでの短い期間も決して楽しく過ごしていたわけではなかった。
 結果的に社会性は皆無に等しく、身内からも常に身を隠し、同年代の友達など全くいなかった。いや、居たような気もする。なんとなく名前も覚えていない誰かと遊んだ記憶がある。祖母が商売をやっていた関係で子守りをしてくれる年長の人もいた。
 いずれにせよ、名前を記憶できるほど長く関係を継続することは出来なかったのか、ただ単にそのころの記憶があやふやになっているのか、定かではないが、おおっぴらにケンカをした記憶もなく、一人でぽつんとしていたことが思い出される。
 小学校が苛烈だったのは、同級生との関係がより意識的になり、それにつれて濃密になったからだろう。
 そして僕の自我は初めて接した他者に対してどこまでも気位が高かった。親や祖父母との関係も希薄で誰からもちやほやされたわけでもなく、ただ他者との接触のない自分の王国の中で気位を高めていったのだろうか。自分のことながらぞっとする。
 ただ、祖母の商売柄からか、大人と接することには余り抵抗がなかった。であったところで、級友たちとしょっちゅう諍いを起こしていた僕はやっかいな生徒であることに変わりなく「先生のお気に入り」にもなれなかった。