少しずつ惜しいBODiBEAT

本家engadget等でちらと見かけたのが2007年ぐらいだったことからすると、構想・制作に4年ぐらいはかかっていると思われるYAMAHAが音楽屋の意地にかけて制作したDAP兼ワークアウトグッヅ兼楽器(!?)が5月15日から一般でも入手可能になったらしい。
日経BPの開発者インタビューは実に正直すぎる部分も含めて面白かった。東芝のテレビ屋さんのインタビューなどもその傾向が強いけど、技術者のインタビューはどうせ難しいこと言っていて一般消費者には読まれないだろうという認識でもあるのか、一応広報は通しているだろうに脇の甘い、その分面白い内容がボロボロ出ていることが多い。特にYAMAHAは株式市場に気を遣う必要が無い分その辺が楽なのかもしれない。そもそもそういう環境でもなければこのご時世に開発とテストにこれだけの長期間をかけた商品は出てこないわなとも思う。*1

ともあれ、期待は大きいのだけれども実物に触る機会がないのでレビュー的な事はかけない。

じゃあ、なにを書きたくてこんな稿を起こしたのかと言えば、ちょっと商売的な部分で危ない方向に進んでしまっているのではないかと危惧しているからだ。

ブログ等への露出も製品レビュー記事も出そろっているが、市場を見ると存在感がない。いまのところメーカーサイトでの直販とスポーツ用品の小売り系列にある程度独占的に供給しているだけのようだ。店頭で手に取れるのはまだ関東方面に限られる。

元々、新しいコンセプトの商品で本来は競合が無い状態のはずが、家電量販店的な場に出してしまうと有り体に言って他社のDAPと比較されてしまうことを恐れているようだ。スポーツ用品店なら使い方のフォローアップも期待できる。

製品にかける情熱を記事から読み取ると、ガジェットマニアの玩具にはしたくないと言う思いはひしひしと伝わる。

出来れば得意の楽器屋系列で売りたいところだっただろう。

だけど、やっぱりこの製品のアーリーアダプターはいわゆる人柱と言われるガジェットマニア達だと思う。自分を含めて。

そして多分彼らはこの渾身の製品を安く見積もったりはしないと思う。まあ時節柄いつもよりこの価格帯の製品には手が出にくいとは思うけど。

何となく特殊なルートに限定して流通している状況はかえって割高感を演出しているし、単純に楽天やアマゾンに出品がない時点で露出がかなり抑えられている。意図的に操作して市場に飢餓感を生んでいるならそれも良いとは思うけど、記事からはコネクションがないからやむを得なくこの状況になっているように読める。

YAMAHAは時にオーバースペックな商品を平然と店頭に並べるかと思えばあっさりと高評価の部門から撤退したりする意志決定のわかりにくい会社でもあると思う。

この商品は非常に大きなポテンシャルを秘めているし、数さえ出てしまえばニコ動等で新しい楽器としてのムーブメントを起こせるかもしれない。制作会社の意図しない動きが予想できる商品は無理して流通をコントロールすると勢いを失ってもったいない商品になってしまう可能性が高い。

YAMAHAには是非そろそろ英断を下していただきたいものだ。

*1:この一文は何故かYAMAHAは上場していないと思い込んでいた僕の勘違いでした。まあ、長期的な視野で商品開発が出来る希有な企業という意味で良い方にとっていただければ幸いです。